もう一年以上も前から計画していたのに、なかなかタイミングが難しくて、やっと今年の夏に叶った二人旅。
長年の仕事のパートナーでもある、宮平桐さんと彼女のご実家がある道北地方の「名寄」に、二泊三日のプランでドライブしました。
もうすぐ生きてきて半世紀になるけれど、その中でいつも私の中で大事なのは、大切な人のルーツを知ること。桐さんとは、お仕事を通して年を経るごとにお互いの精神性を安心してシェアして表現活動を共にできるようになりました。それでも、いつも会話に出てきた彼女の出身地、名寄は、いつかきっと訪れたい場所として、私の心にありました。
旅の初日。小樽を6時に出発したのはいいけれど、まさかの雷付きのざんざんぶり。雨雲が札幌に向かうのと同じくらいのスピードで、桐さんの札幌のお家に到着。旭川経由で道北稚内に向かいました。比布(ぴっぷ)まで高速でしたが、その後のバイパスも含めて、道北の中央分離帯は、なんて素敵なのでしょう!無機質なアスファルトで終わらない、中央分離帯自体が高くとど松が果てしなく生い茂っていて、深い森の中のハイウェイを進んでいるようでした。稚内に向かう草原は、私たちが勝手に名前をつけた「天から降ってきたラムネ」のように、ロールされた牧草があちこちに無造作にあって、圧巻でした。
初めの目的地は、キャンドルを製作しながら絶景の中カフェを営んでいらっしゃる、Cafe Kiraさんへ。いつも私の個展に稚内からお出かけくださり、いつか伺いたいとずっと思っていました。念願叶って店内に入ると、高い吹き抜けと、全面に広がる丘を望める、本当に素晴らしいロケーションでした。伺った日は、あいにく曇っていましたが、晴れた日は、利尻富士が望めるほどの景色だそうです。
同じキャンドルを製作する者として、お互いに表現したいものを大切に、温かい気持ちで取り組めることはすごく幸せなことだと思います。店内にはご希望の方にはキャンドルも自由に選べて灯してくださるので、プライベートな時間を過ごすことができます。
深煎りコーヒー、体に沁みました。
北上した私たちは、桐さんのお母さんが待つ、名寄まで南下。道がとても走りやすくて…というより、深い森の木々たちに、「それにしてもあなたたち、よく喋ること」と言われているのではと思う位、170Km強のドライブがあっという間の到着でした。道中は、天塩川の雄大さとその周りに広がる山々、ジャガイモや稲やそばの丘がパッチワークのように広がっていました。
初めての桐さんのご実家。本当に久しぶりに桐さんのお母さんにお目にかかれて、小樽からの大八栗原蒲鉾を早速旬のささげと一緒に煮込んでくださいました。「お母さんの味」に、思わず胸がいっぱいになりました。
博学で、名寄の芸術文化を深めようと力を注がれていた、いまは亡きお父様のご慰霊にもご挨拶でき、お家のあちこちに飾られている北欧文化圏のもの、北海道の民藝文化の象徴のような作品の数々、そして私自身育った時にたくさん読んだ絵本が大切に保管されていました。「日々の暮らしを通して、本物を理解し深めていく」
初日で、もうお腹いっぱいになりました。
次回に続く