3月9日は、市立小樽美術館市民ギャラリーにて、北海道文化賞受賞・師範60周年記念写真展「藤間扇玉のあゆみ」の千秋楽でした。「潮まつりのこと」と題したギャラリートークと潮太鼓打演があるとのことで、30分前に着くと、たくさんの来場者ですでに会場はいっぱいでした。
小樽では、知らない人がいないくらい、小樽の芸術文化を60年以上に渡りリードされてきた藤間扇玉さん。
「小樽伝統文化の会」を設立し、毎年市民会館で開催される「和を遊ぶ」を通じて、多彩な伝統文化を普及されてきました。
今では夏の風物詩になった「潮まつり」の潮音頭と潮踊り唄の考案した一人でもあり、舞踊家・指導者として、毎年小樽の全ての年齢層に指導、地道にその裾野を広げてこられました。その潮まつりの立ち上げにおいて、のちに命がけで運河保存運動を推進した画家の藤森茂雄氏と運命的な出会いを果たし結婚されます。そして、夫となった藤森さんが49歳で他界されてからも、三人の子供達を育て上げます。
ギャラリートークでは、潮まつりにまつわる様々な貴重なエピソードを、扇玉さんのお嬢様、藤間扇久華(藤森五月)さんが司会としてリード、元小樽市長の山田勝麿さんと扇玉さんの対談を聞くことができました。今よりも昔はもっと社会が封建的で、性別やその道の世界での格付けがはっきりとついていた時代背景に、地道にチャレンジして模索しながら、自分の揺るぎない意志と方向性を見つめ、行動し、斜陽と言われていた小樽の街を新しい試みで形創ってきたプロセスを学ぶことができました。
そして、最後に会場のみんなで潮音頭を太鼓と一緒に踊り練り歩く素敵なフィナーレで会は幕を閉じました。
写真展を通じて、扇玉さんのこれまでの芸術に対する愛の軌跡と、それを敬意をもって包み込む会場の皆さんの深い愛情に触れて、小樽の街に住む一員として、気が引き締まるのと同時に、心が豊かに耕されました。
ひとりの女性として、信念を持って生きること。
忘れられない機会をいただきました。