Jun's Light

Jun’s Light | the beauty of transience

お知らせ News

2023.9.29美唄で広がる食文化。繋がっていく、友情。

9月も最終週。
先日は、美唄にて、イタリア料理研究家の高橋やすこさんによる、初めての料理教室が開催されました。

夏のFrank Weberプライベートライヴ in 美唄のアフターパーティーの軽食をやすこさんにお願いしたことをご縁に、お知り合いになったみなさんを中心に、美唄のマダムたちが一挙集結。楽しいひとときとなりました。

やすこさんの料理研究家としての魅力の一つは、その土地に根ざした食材に対する深い好奇心と、尊厳を持ったアプローチ。
美唄の食材の魅力も、改めてやすこさんから色々な感想や発想が次々と出てきて、マダムたちも感激されていました。

乾杯!!!!

美唄は、私の北海道における第二の心の故郷。
ピアニスト、奧山幸恵さんとは、20年来の友情を育んできました。
もう今は亡き、幸恵さんのご両親にも、子供たちも含めて、手を広げていつも包み込んでくださるような素敵な関係を持っていただいていました。幸恵さんのご自宅で、ご参加くださった皆さんとやすこさんプロデュースの食卓を囲み、喜んでくださっていたらいいな。。。と思いながら、窓から差し込む明るい日差しを感じていました。

2023.9.18開幕「足立美術館所蔵 近代日本画と北大路魯山人展 — 和の美、再発見。」

7/16の土曜日。
いよいよ、足立美術館所蔵、近代日本画と北大路魯山人展が開幕する日。
早朝から小樽を出て、札幌で宮平桐さんと待ち合わせ、展覧会の開会式に出席してきました。

来賓の方々からの言葉とテープカット。開幕の瞬間に立ち会えて、光栄な気持ちと同時に気が引き締まる思いに。

その足で、展覧会に吸い込まれるように入っていくと、足立美術館所蔵の作品の数々が、静かに迎えてくれました。
一つ一つが、ゆったりと展示されていて、明治、大正、昭和の時代にタイムスリップしました。近代日本画では、特に、当時、女性がどのような感覚で日常を送っていたのであろうかと、想像を掻き立ててくれる作品が多くあり、絵画の女性像の眼差しの数々に、すっかり心を奪われてしまいました。また、当時の画家たちが注視していた自然の情景描写にも、大変感激しました。葉っぱ一枚一枚に魂が宿っているというか、そこにも画家の心情を繊細に載せていきながら全体像を捉えていく世界観。本当に素晴らしかったです。
おそらく、あまり瞬きもせずに凝視し続けていたのでしょうか、半分きたところで、しばらくソファーに座って放心状態になった感じでした。そこから幕開けする、魯山人の作品群は、すでに自分の咀嚼キャパシティーを超えていたので、10日後の次回に持ち越しました。

会場では、今回の美術展の特設ミュージアムショップが併設されています。そこで、この展覧間にちなんだ、宮平桐さんと私の作品もご覧いただけるようになっています。

宮平桐さんのブローチ3種類。いずれも、彼女のスペシャリティーでもあるオートクチュール刺繍の作品です。
桐さんは、現在大通りビッセの2FライフスタイルショップYUIQさんにて、秋展も開催中。
美術館巡りと合わせて是非訪れてみてください!

会場では、このほかにも、アートステーショナリーの数々や、足立美術館が佇む、島根県の魅力的な特産物がたくさん販売されています。
島根県の和菓子は、会期中変わるそうですのでお楽しみに!

皆様、この秋は、是非北海道立近代美術館まで足をお運びくださいね。

札幌テレビ放送・創立65周年記念
「足立美術館所蔵 近代日本画と北大路魯山人展
— 和の美、再発見。」

2023年9月16日(土)〜11月12日(日)
北海道立近代美術館

島根県の安来市にある、四季折々の日本庭園でも名高い足立美術館コレクションから、竹内栖鳳、横山大観、上村松園、伊東深水などによる近代日本画と、美食家としても知られた魯山人の器の数々が展示される予定です。

展覧会に関する情報は、こちらからどうぞ

2023.9.10展覧会の灯り#3「扇の恋文」

展覧会の灯り、三作目は、

「扇の恋文」です。

上村松園作、うぶで可憐な朝顔日記のヒロイン、「娘深雪」。恋文が書かれた紫の扇。二人が出逢った場所を暗示する葦の葉をモチーフに、離れた相手を想う灯りを創りました。

秋の紫色は、心を沈めてくれるのと同時に、深めてくれる色でもあると思います。
展覧会まであと1週間を切りました。
足立美術館所蔵の宝物たちに出会えるのが、今から本当に楽しみです。

札幌テレビ放送・創立65周年記念
「足立美術館所蔵 近代日本画と北大路魯山人展
— 和の美、再発見。」

2023年9月16日(土)〜11月12日(日)
北海道立近代美術館

島根県の安来市にある、四季折々の日本庭園でも名高い足立美術館コレクションから、竹内栖鳳、横山大観、上村松園、伊東深水などによる近代日本画と、美食家としても知られた魯山人の器の数々が展示される予定です。

展覧会に関する情報は、こちらからどうぞ

2023.9.8製作ウィーク

今週は、いよいよ来週末から始まる北海道立近代美術館における展覧会に向けて、製作と仕上げの日々となっています。
特に、「慈秋」と題した、秋めく足立美術館の庭園と魯山人の「雲錦鉢」をモチーフにしたキャンドルは、工程が何段階にもなることから、1日があっという間に過ぎてしまう感じです。

この写真は、キャンドルの本体が出来上がってから第一段階目の絵付け。足立美術館の庭園を望む「生の額絵」を描きました。

そして、今度は紅葉を一枚ずつ描いていきます。灯りをともした時に、紅葉が舞踊のように映ることをイメージして描きました。絵付けに使うものはロウを染色して描いていきます。

描く時は、きっと私は息を止めているのかもしれません。老眼が始まっているので、最近はメガネが欠かせませんが、どっしりと疲労感が押し寄せてくるので、一時間半ずつのペースで区切りながら描いています。30分の休憩の時には、頭を空っぽにするのに、お洗濯か、お庭の雑草を抜きに行くと、すっかりリフレッシュ!創作と家事を組み合わせると、これがなかなか癖になるのです。

STV創立65周年記念
足立美術館所蔵
近代日本画と北大路魯山人展
ー 和の美、再発見。

2023年9月16日(土)〜11月12日(日)
北海道立近代美術館


展覧会に関する情報は、こちらからどうぞ

2023.9.1展覧会の灯り#2「慈秋」

今日から9月。
小樽はしっとりと雨が降っていて、昨日の暑さからは少し解放されています。

今月初めは、足立美術館所蔵の展覧会に向けての制作が続きそうです。

展覧会の灯り#2「慈秋」

足立美術館の「生の額絵」から望む庭園と、魯山人の「雲錦鉢」。創設者・足立全康による、心血を注いだ日々の繊細なる庭づくりと、「器は料理の着物」という言葉を残した魯山人に敬意を込めて、紅葉舞う秋の灯りを創りました。

キャンドルに描く紅葉は、全て手描きになります。
日本画に使われる面相筆を用いて、魯山人の細密さと大胆さを少しでも表現できればと取り組んでいます。
16日は開会式。それまで頑張ります!

札幌テレビ放送・創立65周年記念
「足立美術館所蔵 近代日本画と北大路魯山人展
— 和の美、再発見。」

2023年9月16日(土)〜11月12日(日)
北海道立近代美術館

島根県の安来市にある、四季折々の日本庭園でも名高い足立美術館コレクションから、竹内栖鳳、横山大観、上村松園、伊東深水などによる近代日本画と、美食家としても知られた魯山人の器の数々が展示される予定です。

展覧会に関する情報は、こちらからどうぞ

2023.8.29展覧会の灯り#1「日月行燈」

展覧会の灯り#1「日月行燈」
北大路魯山人がデザインした行燈(あんどん)をモチーフに、そのものを一つの蝋燭として製作しました。

「展覧会の灯り」は、主催者のSTV札幌テレビ放送事業部の方と、2009年の札幌芸術の森美術館で開催された「クリムト・シーレ展」から始まりました。時代を超えて、国境を超えて、今も大切に受け継がれ、人々の心を動かす作品と、それを生み出した芸術家たちの人生の物語や伝えたかったことを、展覧会のテーマとともに捉え、感動しながら製作しています。

「展覧会の灯り」をつくることは、来場者のみなさまが、お家に帰ってから、灯りに火をつけて、美術展で思いおもいに感じたものをゆっくりと振り返っていただけたら…とのアイディアで始まりました。キャンドルの灯りが思い出を照らす、一つの形です。これまでの展覧会の灯りをご覧になりたい方は、こちらからどうぞ

札幌テレビ放送・創立65周年記念
「足立美術館所蔵 近代日本画と北大路魯山人展
— 和の美、再発見。」

2023年9月16日(土)〜11月12日(日)
北海道立近代美術館

島根県の安来市にある、四季折々の日本庭園でも名高い足立美術館コレクションから、竹内栖鳳、横山大観、上村松園、伊東深水などによる近代日本画と、美食家としても知られた魯山人の器の数々が展示される予定です。

展覧会に関する情報は、こちらからどうぞ

2023.8.27初☆二人旅(その二)

二日目の朝は、快晴!
気温は8時の段階でもう30度を越えようとしていました。
盆地に位置する名寄でも、例年はお盆を過ぎると秋の風が感じられるそうですが、今年は、猛暑続きで桐さんのお母さんも「こんなの今までなかったわよ」とおっしゃっていました。
午後になるともっと気温が上がりそうだったので、午前中に名寄巡りをしました。

名寄神社と公園が隣り合わせのエリアは、名寄の東側に位置していて、天塩川の西エリアとはまた雰囲気が違いました。
雨上がりだったのもあって、緑の公園が濃い湿度を放っていましたが、なんて美味しい空気!見ると、木々も力強く、足元の草原も立派なキノコやアリさんが一気に活動的になっているようでした。小川のせせらぎが池に伝わって、見事な蓮の花をオニヤンマが優雅に飛んでいました。

神社にお参りに行ってから、その足で桐さんの母校巡り。高校は新設されていましたが、中学校は当時のまま。名寄は冬はマイナス25度は当たり前になるので、桐さんの話では、当時は制服の下にジャージを着て、オーバーコートとブーツを履いて学校に行っていたそうです。心も体も強くなるわけですね!そのあとは商店街で桐さんが親しくされているお肉屋さんやお化粧品屋さん、近くの西條デパートに歩いて行ったり、名寄のまちを満喫しました。碁盤の目の街なので、わかりやすくて、少しは初めての方をご案内できるくらいになったかも!

暑くてヒイヒイ言いながらお家に逃げるように帰ると、待っていたのはお母さんのお昼ご飯。私からの強いリクエストで、いつも通りのお昼が食べたいと言っていたので、こちらになりました。

これはただ単なるマルちゃんラーメンではございませんで、餃子入りラーメン!なんて幸せなのかしら!

その日はゆっくりお家で高校野球を見て、楽しい野球の魅力を親子からしっかりレクチャーを受けて、なんだかいろんな楽しみが一気に自分に入ってきてとても豊かな気持ちになりました。

時間はあっという間に過ぎ、次の日はもう帰る日。
あまりにもゆっくりのんびりとデトックスさせていただいたので、桐さんのお母さんには、本当にお世話になりました。
また今度は札幌で…と、名残惜しい気持ちを抑えながら出発。目指すは士別サフォークしずお農場

私たちが以前ご縁をいただいた農場の方に連絡がついて、併設のペコラキッチンで貴重なホゲットの羊肉をいただきました。
ホゲットは、ラムとマトンのちょうど中間くらいですが、実はジンギスカンが苦手な私でも、「本当にこれが羊肉!?」というくらい特有の匂いはなく、なんとレバーやハツといったホルモンまでお塩だけで美味しくいただくことができました。

広大な牧場には普段いるはずの羊さんたちは、軒下に固まって暑さを忍んでいるようでした。牧場を望むキャンプ場は、プライベート感たっぷりで、夜の星空はどんなに綺麗だろうと想像しながら足を進めました。

すっかりリフレッシュした二人。
大自然に暮らす人々と、そこから生まれる産物のクオリティーの高さに感化されて、帰りの道中は「よーし、明日からまた頑張ろう」が合言葉となっていました。

数え切れないほどの緑に触れた三日間。
冬の桐さんとのコラボ展に向けて、心のキャンバスが豊かになった気がしました。

桐さん、そして桐さんのお母さん。
忘れられない夏の想い出をありがとうございました。

2023.8.25初☆二人旅(その一)

もう一年以上も前から計画していたのに、なかなかタイミングが難しくて、やっと今年の夏に叶った二人旅。
長年の仕事のパートナーでもある、宮平桐さんと彼女のご実家がある道北地方の「名寄」に、二泊三日のプランでドライブしました。
もうすぐ生きてきて半世紀になるけれど、その中でいつも私の中で大事なのは、大切な人のルーツを知ること。桐さんとは、お仕事を通して年を経るごとにお互いの精神性を安心してシェアして表現活動を共にできるようになりました。それでも、いつも会話に出てきた彼女の出身地、名寄は、いつかきっと訪れたい場所として、私の心にありました。

旅の初日。小樽を6時に出発したのはいいけれど、まさかの雷付きのざんざんぶり。雨雲が札幌に向かうのと同じくらいのスピードで、桐さんの札幌のお家に到着。旭川経由で道北稚内に向かいました。比布(ぴっぷ)まで高速でしたが、その後のバイパスも含めて、道北の中央分離帯は、なんて素敵なのでしょう!無機質なアスファルトで終わらない、中央分離帯自体が高くとど松が果てしなく生い茂っていて、深い森の中のハイウェイを進んでいるようでした。稚内に向かう草原は、私たちが勝手に名前をつけた「天から降ってきたラムネ」のように、ロールされた牧草があちこちに無造作にあって、圧巻でした。

初めの目的地は、キャンドルを製作しながら絶景の中カフェを営んでいらっしゃる、Cafe Kiraさんへ。いつも私の個展に稚内からお出かけくださり、いつか伺いたいとずっと思っていました。念願叶って店内に入ると、高い吹き抜けと、全面に広がる丘を望める、本当に素晴らしいロケーションでした。伺った日は、あいにく曇っていましたが、晴れた日は、利尻富士が望めるほどの景色だそうです。

同じキャンドルを製作する者として、お互いに表現したいものを大切に、温かい気持ちで取り組めることはすごく幸せなことだと思います。店内にはご希望の方にはキャンドルも自由に選べて灯してくださるので、プライベートな時間を過ごすことができます。
深煎りコーヒー、体に沁みました。

北上した私たちは、桐さんのお母さんが待つ、名寄まで南下。道がとても走りやすくて…というより、深い森の木々たちに、「それにしてもあなたたち、よく喋ること」と言われているのではと思う位、170Km強のドライブがあっという間の到着でした。道中は、天塩川の雄大さとその周りに広がる山々、ジャガイモや稲やそばの丘がパッチワークのように広がっていました。

初めての桐さんのご実家。本当に久しぶりに桐さんのお母さんにお目にかかれて、小樽からの大八栗原蒲鉾を早速旬のささげと一緒に煮込んでくださいました。「お母さんの味」に、思わず胸がいっぱいになりました。
博学で、名寄の芸術文化を深めようと力を注がれていた、いまは亡きお父様のご慰霊にもご挨拶でき、お家のあちこちに飾られている北欧文化圏のもの、北海道の民藝文化の象徴のような作品の数々、そして私自身育った時にたくさん読んだ絵本が大切に保管されていました。「日々の暮らしを通して、本物を理解し深めていく」
初日で、もうお腹いっぱいになりました。

次回に続く

2023.8.16初☆一人旅

お盆明け。
小樽は、日中30度を超えて、とても蒸し暑い日となりました。
お昼過ぎから、市内の歴史的建造物の中で打ち合わせだったので、大勢の観光客の皆さんに紛れて、街をしばらく歩いていました。

小樽は、連日世界中から本当にたくさんの旅行者が訪れます。小樽MUSEも、韓国のカップルやご家族づれが多く、最近は海外からのご予約も増えてきました。タッチアンドゴーで小樽をざっと観光するのも一つのやり方かもしれないですが、私たち小樽市民のお店や様々な施設一つ一つがもっと個性を磨き、「ならでは」のアイデンティティーを創り出していくことで、街そのものが短時間では到底感じることのできない、「滞在型」の場所になっていけるのではと思って、微力ながらお膝元の地域での活動に力を注いでいきたいと思っているこの頃です。

旅といえば、先日18歳になった娘が、仙台に初めての一人旅に出かけました。二泊三日の短い期間ですが、大学見学に合わせて、自分で調べた仙台の街をゆっくり歩きながら、夜はホテルでお勉強と、大学の受験の予行練習も兼ねることになりました。お小遣い張もつけたりとか、いずれ一人で生活していくことをイメージしながら、自由な気持ちで楽しんできて欲しいと思います。夕方にホテルにチェックインして、電話をかけてきて顔を見ると、そこには彼女(私も)がクレイジーなくらい大好きな「ずんだシェイク」が!お昼には、もう「牛タン」を一人で食べに行ったそうです(笑)。こうして、少しずつですが、薄皮を剥ぐように子供達が自分の元から離れていき、独立心を持って行動できるようになるための第一歩を見ると、胸がいっぱいになります。同じ屋根の下で、お互いに頑張ろう!と言い合ってきた意味がもっと深まる気がして。

SBCA0510

写真は、娘が2歳の頃。16年前!?

2023.8.11お盆を前に思う事

連日猛暑続きの日本列島。
本州の皆様、お元気にされていますでしょうか。。。
台風に、猛暑に、自然災害は世界各地で起こっていて、もうちっとも映画の世界ではなくなりました。
今年のお盆の入りは13日とのこと。小樽の我が家の近くにある市立霊園も、車の列が多くなってきました。車のナンバーも、フェリーポートから直接小樽入りされたのではと思うくらい、全国津々浦々からと、お盆らしくなってきました。

そして、もうすぐ終戦記念日。
小さい頃から、母が、8/6,9,15になると、必ず、「本当はね、今日は梅干しとご飯だけにするべきなのよね。白いご飯も、当時は食べれなかったのだから。」と、言いながら、食事を準備していたのを思い出します。東京だっだから、夏もそうだし、3月の東京大空襲や、9月の関東大震災の時も、同じような会話が家庭でありました。

時は過ぎて、アメリカで大学に通っていた時、北西部エリアの大学生のグループとしてロンドンに半年間、留学する機会を得ました。単位も交換できるし、せっかくだから、ヨーロッパの歴史を選択しようとヨーロッパ近代史の授業を取りました。グループとしても、40名近くのアメリカ人の生徒の中に、私だけ日本人でした。その年は、ちょうど戦後50周年のD-Dayパレードもロンドンで企画されていた年で、多くの注目は、そのパレードに敗戦国のドイツを招くかどうかでした。授業でも、様々なディスカッションが交わされる中で、日本に対する原爆投下に関しては、まさに正当性のあるもので、そのおかげで戦争が終わったという認識のクラスメートがほとんどでした。
私にとっては、とてもショックな見解の連続で、自分の中で、このままマイノリティーだからという理由で、黙ってスルーするべきなのか短い時間でしたが、とても悩みましたが、受け身だけではなくてやっぱり何か言わないといけないという気持ちになりました。汗がじわっと出てきて、足はガクガク。でもこれは授業なんだから、素直な気持ちを述べればいいんだと思ったのを覚えています。日本人として、私が生まれる前の戦時中と戦後を想像しながら、私がそれまでに家族や社会に教えられる中で得た認識を訴えました。最後にいかなる理由でも、核兵器は絶対に無くさないといけないと言ったとき、涙が流れてきて、それ以降はあまり言葉になりませんでした。みんなの顔もどうだったかよく覚えていないけれど、クラスはシーンと静まり返り、教授も言葉を選びずらそうにまとめていました。その放課後、ルームメイトのアンジェリーとホストファミリーの家に帰る途中、「私のお母さんはタイ人でお父さんはアメリカ人でしょ。それぞれの国の認識をシェアすることは、とても大切だと思う。今日はクラスで言えてよかったよ!」と優しい言葉をかけてくれたのを覚えています。

そして最近、連載のある記事が掲載されていたのを読みました。日本人の精神科医でもある内田舞さんの経験は、私の大学時代に幾度も遭遇した経験と、とても似ていて、言葉で明確に、どう理解していけばいいのかを示してくださっていました。初めて、私も心のモヤモヤが少し晴れてくような感覚になり、とても救われた気持ちになりました。

今年の我が家のお盆のお花は、白から離れて、百合も菊も、蘭も、みんな紅の仲間にしました。
ヒバとあわせたら、夏でも暑苦しくなく、元気が湧いてきました。

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