Jun's Light

Jun’s Light | the beauty of transience

Jun's Light - GALLERY - Sanctuary

共感覚プロジェクト Synesthesia Project

共感覚プロジェクト Synesthesia Project 

2019年春の個展を封切りに、NY在住のミュージシャン、フランク・ウェバー氏の音楽とのコラボレーションを開始しました。「Arts Meet Music〜アートが音楽と出会うとき〜」を基盤に、お互いの作品から得るインスピレーションだけではなく、「Synesthesia 共感覚」による作品の創作に取り組んでいます。

「共感覚」の一般的な定義は、「あるひとつの刺激に対して、通常の感覚だけでなく異なる種類の感覚も自動的に生じる知覚現象をいう。例えば、共感覚を持つ人には、文字に色を感じたり、音に色を感じたり、味や匂いに色や形を感じたりする。」(Wikipediaより一部参照)

ウェバー氏とは、パンデミックの状況下で物理的には離れての創作活動となりました。具体的には、私のアート作品を彼が見ながら音楽を創作する。そして、私は、彼の音楽を聴きながらアート作品を創作する。音に色や情景を見る。そして色や情景の絵に音を感じる。互いのインスピレーションを共有しながら作品を創作していくことは、これからもずっと取り組んでいくのですが、そのプロセスで出来なかったのは、いつもお互いの作品のタイトルや歌詞、個展のコンセプトなど、多少バイアスのかかった、純然たる「共感覚」ではないものでした。そこで、2022年の夏からは、そのバイアスを極力排除した創作活動にもチャレンジできないものかと模索してきました。

この壁に並んだ作品「ONE ひとつ」は、ウェバー氏が私の創作した3作品から、ランダムに私には内緒でその作品を選び、音楽を創作(個展BGMでひとつだけ短いピアノソロの曲)、そして、その曲を、私は聴きながら作品を創っていったものです。唯一お互いに知り得る情報は、絵と音楽。二つの作品からなるワックスアートを見てその作品のタイトルもコンセプトも知らないウェバー氏は、二つの世界を行ったり来たりする感覚を持ち、音で表現〜その音色を聞いた私は、「ONE」という選ばれた作品のことは何も知らずに、創作を始めました。興味深いことに、私が描いた作品は、二つの楕円の世界を描く「無限」のシンボルのようなものでした。その楕円は、それぞれ、細かい粒子のような淡いピンクと紫の花びらが舞い、世界を形成しているようなイメージとなりました。お互いの共感覚を用いた作品を、これからも様々なアプローチを模索しながら創作していきたいと思います。

Synesthesia Project

– A new artistic project in collaboration with composer Frank Weber –

Since 2019, Jun and Frank have been cultivating their inspirationally collaborative partnership in “Arts Meet Music”, eventually leading them to the current creative experimentations called “Synesthesia Project”.

Synesthesia by definition is :“the fact of experiencing some things in a different way from most other people, for example experiencing colors as sounds, experiencing shapes as tastes, or feeling something in one part of the body when a different part is stimulated.”(Oxford Learner’s Dictionaries)

“As we create our works in collaborative manner, specifically, Frank creates music by looking at my art pieces, and then I create my art pieces by listening to his music. We could only approach that process remotely due to the pandemic situation. When we were able to locate ourselves in person, we challenge ourselves to be as purely creative as possible, meaning, we try not to get biased by any sorts of information such as by providing titles of art pieces or songs, themes of works, and so on.

When I listen to Frank’s music, I notice music as color, texture and some forms of movement among them, as an image. It is comparable to anthropomorphic traits relating to colors and sounds. For example, once a collection of sound to me was as if it was forming small particles of flower petals in pale pinks and purples and greens moving and shaping two ovals connecting one to another, and eventually forming a symbol of infinity.

We started to be more interested in our creative nature…how we process our sensory perceptions to create art or music in a form of synesthetic collaboration.
Hearing colors, seeing sounds…seeing music as color and image, and vice vasa as
music.“ (Jun)

The pieces titled “One” displayed on the wall at this exhibition are one of the works from their synesthetic experiments in 2022. Frank originally picked one of three pieces of Jun’s art works and created a piece of improvisational music as he visually captures Jun’s art piece, without knowing the title or concept of the piece. Jun, then created a piece of art by listening to the music which Frank had just created, again, not knowing which piece Frank had chosen nor the title …simply by listening to the music.
The consequence was very interesting. Frank expressed in his music, two different worlds intertwining each other, while Jun created two different worlds in form of 2 ovals connecting one to another…becoming the figure of “Infinity”. To Jun, each note of sound seemed to have its own color, and the flow of notes gave her strong image of movement, while for Frank, colors and dynamics of art piece gave him a flow of sound. Based on the way colors and sounds are experienced by artists with synesthetic nature, their physical sense adds to another to create something new… unconsciously expressed and retrieved from nowhere…It is a mysterious part of our human nature.

尊厳の境界 A Border Wall for Sanctity

個展まで1週間を切りました。

今日は、一日、個展を音で彩ってくれるFrank Weber氏がこの個展のために書き下ろした楽曲を聴きながら、ギャラリーとなる自宅を見回して、どの作品がどこに来るかなど、イメージを膨らませていました。

フランクとは、2019年より、Arts Meets Music 「アートが音楽と出会うとき」を基に、二人で個展のテーマとなるものを、それぞれの立場で捉えながら、個展の空間を創ってきました。特にコロナ禍で、日本とNY間では、時空間を共有することなく、リモートでそれぞれが創作する形をとってきています。でも、それが今できる精一杯の共同制作の形であって、またその状況下ならではの「想像力」も、育んでこれたと思います。

今回のテーマ、「Beacon of Light」は、かすかに見える希望の光。
この2年半の間、世界的な共通項になったパンデミック禍を背景に、様々な歴史が刻まれてきました。
人間として、その一つ一つに、大切なものが流れているのかと問いた時に、私の中で、「尊厳の境界」という、とても壊れやすく、もろいものを、どうやったら消さずに歩んでいけるのかを、私たちに問いかけられているのではと、感じるようになりました。

私は、蝋燭の灯り、そしてワックスアートという、とても壊れやすくてもろいものを創っています。
だからこそ、その境界線を意識した作品を創作していくことは、小さくても何か意味があるのではないかと思います。

心の平静が宿る家。
私たちの心のかたちとなる「家」で、その表現が素晴らしいアーティスト達とできることに、心をときめかせながら、皆様をお迎えしたいと思います。

Earth tones and pastels,
Images that float as melodies that seem to rest upon a single note.
Melancholic moods, solitary themes
Geometric patterns like something from a dream.

Harmonies and textures 
so pure they touch the soul,
colors soft and subtle 
shape the parts into a whole.

Dissonance in resonance, symmetry divided –
something there that’s absolute, and something undecided.
Implicit conversations, childlike and profound
The music of the Cosmos is heard – without a sound.

Poem by Frank Weber
Anima Mundi Pub. copyright 2021

祈り Prayers

この作品は、喪失感とその先にみる光をイメージして創りました。
私自身は、キリスト教徒ではありませんが、私の周りにいるキリスト教徒のお友達が、実際にこのパンデミック下で、ご家族を亡くされたり、いまこの瞬間も危篤の状態でいることをきっかけに、祈る一心で創りました。最近のパレスティナ自治区の惨事をみても、宗派や信じるものは違っても、祈る気持ちは、どんな人でも一緒なんだと強く思います。
会いたくても会えないどころか、自分の命がどうなるのかわからずに命の灯火が消えてしまって、本当にしたかったお別れもできずに、全ての苦しみを受け入れるしかない人たちが、想像を絶する数いるのだと思います。ボーダーレスな祈る気持ちを灯りにしました。

Between Hellos

”Between Hellos”は、元々Frank Weber氏の曲からインスピレーションを得て制作しました。この曲は、ジャズのメロウなワルツで、アルバムがリリースされた2010年から、ずっと私の心に深く響く歌であり続けています。
ただ単にセンチメンタルな気持ちになる以上に、特に昨年から長く続いているパンデミックの先の見えない状況下で、離れている大切な人々を想うことを、作品にすることで、自分自身もどこかで折り合いをつけることができる気持ちになったのかなとも思います。
初めは、ワルツからトライアングルのシェイプで作品を構成していました。でも、それがいつの間にか、円になって、円の中心や構成要素となる感情、そしてその周りの世界をもっと描きたいと思うようになっていきました。多分、自分の心をつくるのは、自分自身だけではなく、相手からもらえる気持ちだったり、人の心に届きたい(届けたい)想いだったりするのかもしれません。円がバラバラに遠く離れてしまっているときに、私たちの心は、バランスを大きく崩してしまうけれど、それを受け入れざるを得ない状況を、優しく受け止めたくて創りたいと思ったのかもしれません。

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